その日、スザクはご機嫌で生徒会室へ向かっていた。
胸に抱えたバスケットにはたくさんの真っ赤な苺。この前ルルーシュの所に行った時メイドの咲世子に美味しい苺のある店を教えてもらい、手に入れたのだ。本人は男が苺が大好きというのがカッコつかないから隠しているらしく絶対に他の人がいる前では表に出さない。
子供の頃から一番苺が好きだったルルーシュのために。





たくさんのおめでとうを





「あ、スザク君」

「こんにちは」

今日もいつも通りのメンバーが生徒会室にいた。だがスザクは何か違和感を感じた。何も変わらないいつもの生徒会室のはずなのに。スザクの予想では生徒会室はイベント用に飾られ皆浮かれているであろうと思っていた。しかし広がる景色はいつもの変わらない部屋だった。

「今日は軍の仕事なかったんだ?お、何々?それ俺達にお土産?」

リヴァルが目ざとくバスケットを見つけ中を覗く。中身が苺だと分かり手を伸ばし食べようとするが「意地汚いでしょ」とシャーリーに手をペシッと叩かれる。その様子に苦笑しつつ送り主が誰かを答える。

「ははは、これはルルーシュになんだ」

「ルルーシュ?何でルルーシュに?」

「だってルルーシュ今日…たぶっ」

言葉を遮ったのはルルーシュの手。突然起こったにも関わらず驚いてバスケットを落とさなかったのは流石と言える。

「スザクちょっと来い」

半ば強制的にスザクを生徒会室から連れ出す。生徒会メンバーは驚き顔を見合わせ二人を見送るしかなかった。






不意にルルーシュは立ち止まり、笑って言う自分は嘘ばかりだと嘘を嘘で塗り固められた存在なんだと。

「今日は俺の誕生日じゃないんだ。正確には書類上『誕生日ではない』だけどな」

スザクが感じた違和感はコレだったのだ。イベント好きの生徒会がルルーシュの誕生日を祝わない筈がない。何も変わらない事に違和感を感じていたのだ。

「だから俺の本当の生まれた日を知っているのはお前とナナリーだけだ」

七年前あの日から今までルルーシュは生まれた日を祝ってもらえなかった。それを悲しいとは思ったことはない。

「お前がそんな顔するな俺の誕生日なんだから」

ルルーシュはそう言うがでもスザクは何だか悲しい気がした。おめでとう、と言われるのと言われないのでは全く違う。スザクの悲しそうな情けない顔に苦笑がこぼれる。

「大体、お前優しすぎるんだよ。人のことなのに……所でさっきから気になってたんだがソレなんだ?」

スザクは自分が胸に抱えていたバスケットの存在を思い出した。

「あ、そうだ、ルルーシュにあげる為に持ってきたんだった」

「俺に?」

「誕生日プレゼント色々考えだんだけど僕はとにかくルルーシュにおめでとうって言いたくて」

「…苺?」

「はい、まずは十個…十歳の君に」

手に苺十個乗る。

「これは十一歳のルルーシュへ…次は一二歳の…」

十二、十三、十四個…次々と手に乗せられていく。祝えなかった分のおめでとうを。

「最後にこれが今年の誕生日ルルーシュに」

「…」

「おめでとうルルーシュ」

不覚にも本当に嬉しくて泣きそうになった。誕生日くらい別に何とも思ってなかった。祝われなくても関係ない…と思ってたのに。

「ありがとうスザク」

笑顔で答えるとスザクは笑顔を返した。






生まれてきてくれてありがとう 僕に出会ってくれてありがとう


この日が僕にとっての幸福の日


毎年送るよ、祝福の言葉を


たくさんのおめでとうを君に




END






後書き
あえて皆が誕生日を知らないネタで書いてみました。名前だけは変えなかったけどそれ以外は全て嘘だったら…と


2006.12.25



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